シリウスが不機嫌そうな顔をする。王子らしい優雅な話し方から一転、子供時代を思わせる、ぶっきらぼうな口調で言った。
「『俺がもらってやる』って言っただろ」
「そんなの……子供の頃の話じゃない」
はぁ、とシリウスが深くため息をつく。
「君はほんと何にも分かってない」と、呆れた口調で繰り返す。
「えっ? どういうこと?」
「俺が一体何年、君に片思いしてきたと思っている。子どもの頃に惚れてからずっとだぞ。婚約者がいると分かっているのに諦めきれず、遠くから見守ったり、変装して教会ですれ違ってみたり――」
「そんなことしてたの!?」
「どうやって、婚約者から略奪してやろう。いっそ攫ってしまおうか。長期任務に出る直前まで、本気で考えていた。しかし俺が戦場で死んだ場合、君を不幸にしてしまう。そう考えると思い留まるしかなかった」
結局、俺は生きて帰還し、君を守れなかったことを悔やむことになったが……と、シリウスは苦しげに言った。
「ごめん。私、ぜんっぜん、気付かなかった……」
シリウスは『だろうな』と笑う。
「君は昔から超絶鈍感だ」と言われ、私は何も言い返せなかった。全くその通りだから、ぐうの音も出ない。
「『俺がもらってやる』って言っただろ」
「そんなの……子供の頃の話じゃない」
はぁ、とシリウスが深くため息をつく。
「君はほんと何にも分かってない」と、呆れた口調で繰り返す。
「えっ? どういうこと?」
「俺が一体何年、君に片思いしてきたと思っている。子どもの頃に惚れてからずっとだぞ。婚約者がいると分かっているのに諦めきれず、遠くから見守ったり、変装して教会ですれ違ってみたり――」
「そんなことしてたの!?」
「どうやって、婚約者から略奪してやろう。いっそ攫ってしまおうか。長期任務に出る直前まで、本気で考えていた。しかし俺が戦場で死んだ場合、君を不幸にしてしまう。そう考えると思い留まるしかなかった」
結局、俺は生きて帰還し、君を守れなかったことを悔やむことになったが……と、シリウスは苦しげに言った。
「ごめん。私、ぜんっぜん、気付かなかった……」
シリウスは『だろうな』と笑う。
「君は昔から超絶鈍感だ」と言われ、私は何も言い返せなかった。全くその通りだから、ぐうの音も出ない。



