「それ以上は危ない。もう逃げるな」
肩を抱き寄せられ、腕の中に囲われる。抵抗したら簡単に抜け出せるくらい、やさしい抱擁。だけど、振りほどけなかった。
「愛してる」
耳元で、低く囁かれる。
「たとえ君が、エスターであろうと、なかろうと構わない。俺は変わらず、アデル・シレーネという女性を愛している」
力強い腕に抱かれ、何度も熱烈に愛を告げられる。
(ずるい。こんなのは、ずるすぎる)
いつもは冷たい無口無表情なのに、こんなマグマみたいな熱い感情を向けられたら、困る。
「愛してほしいとか、何かして欲しいとは思っていない。だが、君が何か苦しみや悲しみを背負っているのなら、どうか俺を頼ってくれ。穏やかな人生を送り、笑って、幸せになって欲しい。どうか……」
私の肩に顔を埋め、シリウスが言った。
「もう二度と、黙って俺の前からいなくなるな」
苦しげで祈るように切実な声だった。
肩を抱き寄せられ、腕の中に囲われる。抵抗したら簡単に抜け出せるくらい、やさしい抱擁。だけど、振りほどけなかった。
「愛してる」
耳元で、低く囁かれる。
「たとえ君が、エスターであろうと、なかろうと構わない。俺は変わらず、アデル・シレーネという女性を愛している」
力強い腕に抱かれ、何度も熱烈に愛を告げられる。
(ずるい。こんなのは、ずるすぎる)
いつもは冷たい無口無表情なのに、こんなマグマみたいな熱い感情を向けられたら、困る。
「愛してほしいとか、何かして欲しいとは思っていない。だが、君が何か苦しみや悲しみを背負っているのなら、どうか俺を頼ってくれ。穏やかな人生を送り、笑って、幸せになって欲しい。どうか……」
私の肩に顔を埋め、シリウスが言った。
「もう二度と、黙って俺の前からいなくなるな」
苦しげで祈るように切実な声だった。



