「どうして……」
どうして分かったの? と言いそうになって、とっさに言葉を変える。
「……仰る意味が分かりません」
「最初は、親友の君にエスターの面影を重ねているんだと思った。ずっと好きだった人を失った喪失感を、君で埋めようとする自分が嫌で、アデルへの想いはまやかしだと自分に言い聞かせた」
だが無理だった、とシリウスが切実に言う。
「駄目だと思っても、君から目が離せなくて、惹かれていく自分を止められなかった」
一歩、シリウスが進む。
そのたび、私は一歩後ろに下がる。
埋めてはいけない距離を保つために。
「この手紙を受け取り、エスターが生きていると思った瞬間、なぜかアデルの顔が浮かんだ。そこで確信したんだ、君がエスターだと」
「ほんとうに、意味がわかりませんわ。ぜんぜん、理由になっていない……」
「ああ、自分でもそう思う。だが、これはもう本能としか言いようがない」
シリウスが困ったように肩をすくめる。
こつんと私の背中が柵に当たった。もう逃げられない。
どうして分かったの? と言いそうになって、とっさに言葉を変える。
「……仰る意味が分かりません」
「最初は、親友の君にエスターの面影を重ねているんだと思った。ずっと好きだった人を失った喪失感を、君で埋めようとする自分が嫌で、アデルへの想いはまやかしだと自分に言い聞かせた」
だが無理だった、とシリウスが切実に言う。
「駄目だと思っても、君から目が離せなくて、惹かれていく自分を止められなかった」
一歩、シリウスが進む。
そのたび、私は一歩後ろに下がる。
埋めてはいけない距離を保つために。
「この手紙を受け取り、エスターが生きていると思った瞬間、なぜかアデルの顔が浮かんだ。そこで確信したんだ、君がエスターだと」
「ほんとうに、意味がわかりませんわ。ぜんぜん、理由になっていない……」
「ああ、自分でもそう思う。だが、これはもう本能としか言いようがない」
シリウスが困ったように肩をすくめる。
こつんと私の背中が柵に当たった。もう逃げられない。



