チュンチュンという鳥のさえずりが聞こえる。

「うーん」と唸って薄めを開けると「朝ですよ。起きて下さい」と声をかけられた。

 
「もう……少し。あと五分……」

 そう言うと、シャッとカーテンが開け放たれ、日差しが顔面に降り注いだ。あまりの眩しさに、毛布をかぶる。

「お嬢様、起きて下さい。今日は孤児院への慰問の日ですよ」

「……今日は、週末でしょ。……だめ。殿下と、鉢合わせちゃう」

「今さら何をおっしゃっているんです。昨夜、仲良くお話していたではありませんか」

「…………ん? 昨夜?」

「ええ。昨夜」


 しばし沈黙。動きの悪い寝起きの頭で考える。

 私、昨日シリウス殿下の夢を見た。
 
 熱烈に告白されて、私もそれに応じて、両思いになって。

 大変、幸せな夢でした。
 
「…………」

「きちんと眠れたか確認するためお伺したところ、殿下とお嬢様がお話しているのが見えましたので、部屋の前で待機しておりました。シリウス殿下は紳士とはいえ、男性。万が一、ということもありますので」

「…………あれって、夢じゃ、なかったの……?」

 私の呟きに、ソニアは平然と「現実です」と言った。