重なりあったまま、見つめ合う。
 
 侵入者が彼だと分かった瞬間、私の体からふっと力が抜けた。

 温かな腕に抱かれ、緊張の糸がふつりと切れる。途端、ひどい眠気に襲われた。

(あぁ、これ夢だ……。だって殿下がこんなところに、しかも窓から来るわけないもの……)

 夢見心地のまま、私は片手でシリウスの頬に触れた。ひんやりとして柔らかい。

 手の平で撫でると、彼はくすぐったそうに目を細めてほほ笑んだ。

「眠そうだ。もしかして、寝ぼけているのか?」と静かに問いかけられて、私は「うん」とも「ううん」ともつかぬ曖昧な返事をした。眠くて声を出すのも億劫だった。

 
「これは完全に、寝ぼけているな」

 苦笑しながら、シリウスが私の体を横抱きにする。そのままベッドの上にそっと横たえられた。