次にご一行が向かったのは、宮廷画家の絵が飾られた鑑賞部屋だった。
煌びやかな絵画の数々に、市民が感嘆の声をあげる。
「あっ! おっきなわんちゃん!」
母親と手を繋いでいた男の子が、突然絵画に向かって走り出した。
待ちなさい! という母親の声に驚いたその子は、すってんころりん。転んで膝を擦りむき、大声で泣き出した。
それを見ていたミーティアが、薄ら寒い聖女の笑みをたたえ、少年の膝に手をかざした。
ぽうっと手元が淡く発光したあと、傷がゆっくりと塞がっていく。
(あれ、治りが遅いような……?)
気のせいかな?と私は首をかしげる。
すっかり元気になった少年が、笑顔で飛び跳ねた。
「ありがとうございます、聖女さま。ほらお前もお礼を言いなさい」
少年はペコリと頭を下げ「聖女さま、ありがとうございます。お礼にこれあげる」と言って、ガラス玉を手渡そうとした。
その瞬間――。
「さわんないでよ!」
ミーティアがいきなり叫び、少年の手を思いっきり叩いた。
パシンッという乾いた音が画廊に鳴り響く。
「やだ、サイアク。あぁ、汚い。……ったく、なんであたしが、下民相手にこんなこと」
ヤバッという顔で、ミーティアが口をつぐむ。ようやく失言に気付いたらしい。
だが、とき既に遅し――。
煌びやかな絵画の数々に、市民が感嘆の声をあげる。
「あっ! おっきなわんちゃん!」
母親と手を繋いでいた男の子が、突然絵画に向かって走り出した。
待ちなさい! という母親の声に驚いたその子は、すってんころりん。転んで膝を擦りむき、大声で泣き出した。
それを見ていたミーティアが、薄ら寒い聖女の笑みをたたえ、少年の膝に手をかざした。
ぽうっと手元が淡く発光したあと、傷がゆっくりと塞がっていく。
(あれ、治りが遅いような……?)
気のせいかな?と私は首をかしげる。
すっかり元気になった少年が、笑顔で飛び跳ねた。
「ありがとうございます、聖女さま。ほらお前もお礼を言いなさい」
少年はペコリと頭を下げ「聖女さま、ありがとうございます。お礼にこれあげる」と言って、ガラス玉を手渡そうとした。
その瞬間――。
「さわんないでよ!」
ミーティアがいきなり叫び、少年の手を思いっきり叩いた。
パシンッという乾いた音が画廊に鳴り響く。
「やだ、サイアク。あぁ、汚い。……ったく、なんであたしが、下民相手にこんなこと」
ヤバッという顔で、ミーティアが口をつぐむ。ようやく失言に気付いたらしい。
だが、とき既に遅し――。