今日もいつもの茶会かと思いきや、何やら変わった『(もよお)し』をしていた。

「はぁい、みなさま。こちらが遊戯サロンですわ。わたくしたち貴族は、ここで盤上遊戯やカード遊びをするんですのよぉ~」

 
 先頭に立ったミーティアがバスガイドさん風に扇子を振り、館内を順に練り歩く。

 その後ろには、王都民が一列に並んで歩いていた。

 
 え、これどういう遊び? 見学ツアーごっこ? と首をかしげる私に、顔見知りの令嬢がこそっと耳打ちする。

 
「市民を聖女離宮に招いて、ご機嫌とってるのよ。この後は豪華な晩餐をふるまうんですって」

「あんなに平民を馬鹿にしていたのに、聖女さまも落ちぶれたものね」と、別の令嬢が囁く。


 集まった令嬢達の態度は冷めたもので、取り巻きの中に、ミーティアの味方は一人もいないようだった。


 急に関係を断つのは不自然だから、みんな私と同じように少しずつ疎遠になる作戦みたいだ。


「さぁ、お隣の画廊へ参りますわよ~!」

 
 引きつった聖女の笑みを浮かべ、必死に愛嬌を振りまくミーティア。

 その姿が、私の目にはひどく憐れに映った。