「父上! 僕は命を狙われたのですよ! 謹慎などあまりに軽すぎる。処刑までいかなくとも、終身刑など、もっと重い罰を与えるべきです!」

「ほう……罰、か」

 メイナードの進言に、陛下がすいっと目を細める。鋭い青の双眸は、シリウスによく似ていた。

「余はお前のことを、もっと賢いと思っていた。お前が王の資質を備えていると信じたからこそ、王の代理を務めさせた。……が、どうやらそれは間違いだったようだ」

「な、なにをおっしゃっているのですか、父上」

「余はこれより、この国を守る王として、最後の責務を果たさねばなるまい」

 陛下はひとつ深呼吸をすると、覚悟を決めた様子で二人の息子を見つめた。
 
「メイナード、シリウス。そなたらに命を下す。晩秋の建国記念日までに、それぞれが考える最善の(まつりごと)を行うのだ。その過程、成果、国民の信頼によって、王を決する」

 シリウスは胸に手を当て、凜とした態度で王命を受けた。
 
 対してメイナードは抵抗を試みるものの、陛下に睨まれて閉口し、渋々といった様子で拝命する。

 この時点で、すでに勝敗は決しているも同然だった。