ウォルス伯爵は青ざめ、呆然とメイナードを見上げた。椅子に座っていることも出来ず、膝から床に崩れ落ちる。
「おゆるしを……おゆるしを……」とすすり泣く姿は酷く憐れだった。
「これにて閉廷。牢の中で自らの悔い改め、死をもって償え」
「――お待ち下さい」
立ち上がったメイナードを制したのは、シリウスだった。
彼はウォルス伯爵のそばに立ち、挑むように兄王子を見上げる。
「どうか伯爵にも弁明の機会を」
「……いいだろう」
再び席に座ったメイナードが、小動物をなぶるような残虐な笑みを浮かべ、顎をしゃくった。
「弁明とやらを聞いてやろう。ほらウォルス、話すが良い」
戸惑いの表情を浮かべたウォルス伯爵が、すがるようにシリウスを見上げる。「貴殿の思うとおりに話せ」という言葉に背を押され、まっすぐ前を向いて話し出した。
「私は、円卓貴族の一員として粉骨砕身の思いで職務にあたって参りました。逼迫した財政の立て直し。貧しき人々を救う手立て、貴族と平民の差をどのように埋めるのか――そんなことばかりを考え、寝食も忘れ仕事に没頭してきたのです」
「おゆるしを……おゆるしを……」とすすり泣く姿は酷く憐れだった。
「これにて閉廷。牢の中で自らの悔い改め、死をもって償え」
「――お待ち下さい」
立ち上がったメイナードを制したのは、シリウスだった。
彼はウォルス伯爵のそばに立ち、挑むように兄王子を見上げる。
「どうか伯爵にも弁明の機会を」
「……いいだろう」
再び席に座ったメイナードが、小動物をなぶるような残虐な笑みを浮かべ、顎をしゃくった。
「弁明とやらを聞いてやろう。ほらウォルス、話すが良い」
戸惑いの表情を浮かべたウォルス伯爵が、すがるようにシリウスを見上げる。「貴殿の思うとおりに話せ」という言葉に背を押され、まっすぐ前を向いて話し出した。
「私は、円卓貴族の一員として粉骨砕身の思いで職務にあたって参りました。逼迫した財政の立て直し。貧しき人々を救う手立て、貴族と平民の差をどのように埋めるのか――そんなことばかりを考え、寝食も忘れ仕事に没頭してきたのです」



