異常な空気を察した両親は、夜会を早々に終わらせ、すぐさま家族会議を開いた。

 そこで発覚したのは、私の異能がやはり跡形もなく消えていたこと。さらにミーティアが治癒の異能持ちとして覚醒したことだった。


 後日、私達姉妹は両親に呼び出された。
 
 父の書斎には、各所から取り寄せた文献が散らばっていた。


 恐らく徹夜で異能について調べていたのだろう。目の下にはクマが出来ている。……が、疲れなどものともせず、父はニコニコと笑い、やけに上機嫌だった。
 
 父が言うには、ミーティアの力は『盗みの異能』――他人の異能や性質を奪い、自分のものにできるらしい。

 
「文献によると、盗みの力は治癒の力よりもさらに希少らしい。なんでも、盗みの異能力者は、盗んだ力を元の所有者よりも強力に使いこなせるらしい」


 父が言ったとおり、その後ミーティアは私以上に治癒の力を使いこなした。
 

 軽傷を治す程度だった私に比べて、ミーティアは重傷を再生させ、おまけに病まで治せるようだった。


 ミーティアはいわば、私の完全上位互換。

 奇蹟ともいえる治癒を行うたび、両親は歓喜し、妹への期待を一層強めた。