ミーティアの友人になってから、頻繁に聖女離宮へ招待されるようになった。
 
 茶会は聖女さまのご機嫌伺いばかりで、毎回うんざり……。それでも、ミーティアの悪事を暴き、未来を変えるチャンスを得るために通った。

 そんなある日、退屈な茶会に意外な人物が現れた。

「まぁ、メイナードさま! いらして下さったのね!」
 
 優雅な足取りで応接間に現れた男性――メイナードの来訪に、ミーティアは頬を薔薇色に染めて立ち上がった。
 
「お仕事は、もうよろしいの?」

「ああ。今日は終わりにしたよ。僕の愛しい聖女。会いたかった」

「今朝もお会いしたのに、ふふっ」

「たとえ数時間でも、君に会えないのは地獄さ。君は寂しくないの?」

「寂しいに決まっていますわ! でも、頑張って我慢しているんですの」

「あぁ! なんて健気なんだ」

 令嬢や貴族もいる中、公然とのろける二人。甘ったるい会話を聞きながら、私はメイナードをこっそり観察した。小説のキャラとしては知っているが、実物を見るのは初めてだった。

 ウェーブがかった巻き毛の茶髪。切れ長な瞳のシリウスとは真逆で、垂れ目の甘い顔立ち。まばゆいばかりの華やかな雰囲気。

 シリウスが月ならば、メイナードは太陽みたいな男性だった。