翌日、王宮におもむき招待状を見せると、聖女離宮へ案内された。

 メイナードは、王宮の敷地内にミーティア専用の屋敷、通称『聖女離宮』を建てた。
 
 今日のパーティの目的は、完成した離宮を人々に見せびらかすためだろう。


 通された聖女離宮は、豪華絢爛だった。


(これを建てるために、一体どれほどの税と労役が費やされたんだろう……)
 

「アデル様はこちらへ。サロンで聖女様がお待ちです」

 侍女に先導され、離宮の奥へ奥へと進む。
 
 ホールでは優雅な調べに乗って紳士淑女が踊り、その隣では宮廷画家の絵画鑑賞会。さらに横の談話室では、カード遊びなどの賭け事が行われている。
 
 それらを全部素通りして案内されたのは、中庭が一望できる二階の小部屋。
 入室すると、貴族令嬢たちが丸テーブルを囲んで談笑していた。

「あら、あなたがアデル・シレーネさんですわね。ようこそ。さぁ、こちらへいらして」

 私に気付いたミーティアが、にっこり笑って手招きする。アデルになってから彼女と話すのは初めてだ。

(用心しなくちゃ)

「お招き下さり、ありがとうございます」と告げて着席する。それと同時にティーカップが運ばれてきた。