[???]
「ちょっと待ったーーー!!」
モブ女集団と、不尾丸達の前に現れたのは……?
[不尾丸 論]
「!?」
[音乃 渚]
「論、上を見て下さい!」
[不尾丸 論]
「上っ!?」
その時……周囲の視線は、物寂しいイベントステージへと集まる。
パーパーパパッーー!♪
[不尾丸 論]
「何この音……」
☆☆☆
[ワガナカ・イエロー(嫉束)]
「幸せいっぱい! ワガナカ・イエロー!!」
[ワガナカ・マゼンタ(巣桜)]
「や、優しさ大事……ワガナカ・マゼンタぁ〜……」
──何かが始まった。
[ワガナカ・オレンジ(刹那)]
「元気いっぱい!! ワガナカ・オレンジー!!!」
[ワガナカ・レッド(笹妬)]
「俺はやらない……」
[ワガナカ・ブルー(狂沢)]
「大声なら得意です!!! ワガナカ・ブルー!!!!!」
[ワガナカ・イエロー(嫉束)]
「最強戦隊、ワガナカファイブ!☆」
バーーン!!!
全身タイツ姿の、黄・赤・青・桃・橙……合わせて5人の戦士達が、不尾丸達の前に現れたのであった。
[不尾丸 論]
「バーン……じゃねぇよ! あと……5人中4人暖色で、寒色が青しかいないの気になるな〜」
[音乃 渚]
「そこ気になるんですね!」
[原地 洋助]
「論!」
[仁ノ岡 塁]
「大丈夫か!?」
原地と仁ノ岡が、不尾丸の姿を見つけて駆け寄ってくる。
[原地 洋助]
「……心配したよ」
[仁ノ岡 塁]
「無事で良かった!」
[不尾丸 論]
「お前ら……ふへへ」
3人は、互いに向き合って微笑み合う。
[音乃 渚]
「論、善いお友達を持ちましたね。 大事にしましょうね」
[不尾丸 論]
「あんたに言われなくたって……」
[仁ノ岡&原地]
「…………」
仁ノ岡と、原地は気まずそうに黙っている。
ビュンッ……!!
その静けさを断ち切るように、不尾丸達の横を何者かが横切る。
[土屋 遊戯]
「なっちゃん〜!! 会いたかったよ〜♡」
[音乃 渚]
「ゆうくん♪」
感動の再会と共に、周りの目なんて気にせず、涙して抱き合うふたり。
[花澤 岬]
「なんとか、退学は免れたな」
[古道 大悟]
「あはは…………ん?」
ざわ……ざわ…………。
[夢女子A]
『まさか!? や、やや、男×男……!?』
[夢女子B]
『BLは地雷なの!!』
[夢女子C]
『もう界隈やめますっ!!』
土屋と音乃が抱き合う光景を見て、周囲の一部の女子達は、腹を立てているようだった。
[笹妬 吉鬼]
「急にどうしたんだ?」
[巣桜 司]
「そうか……夢◎腐×!!」
[狂沢 蛯斗]
「ゆめにじゅうまるふばつ……?」
[刹那 五木]
「何それ〜?」
[巣桜 司]
「イケメンを愛でたい気持ちはあるけど、イケメン同士の絡みは求めていない人達のことです」
この手の話題に少し詳しい巣桜が、得意げに語る。
[嫉束 界魔]
「なるほど!」
嫉束は隣に立っている笹妬を、強引に抱き寄せる。
[笹妬 吉鬼]
「うわっ、なんだよ!」
[嫉束 界魔]
「みんなー!! 隣の人と抱き合って!!」
嫉束は、周囲の男子達に大声で呼び掛ける。
[巣桜 司]
「えっ///」
[狂沢 蛯斗]
「それになんの意味が……」
きゃ〜〜〜!!!!!
[夢女子D]
『やめてー!!』
[夢女子E]
『おぞましい〜〜!!』
一斉に目を覆い隠し始める、夢女子達。
[狂沢 蛯斗]
「なるほど!」
[巣桜 司]
「っ……きゃっ」
理解した狂沢が、巣桜の胸に飛び付く。
[巣桜 司]
(ぼくの腕の中に!! ツンデレの狂沢くんが自ら!?)
[巣桜 司]
「狂沢くん……ふふっ、可愛いです♡」
その時、巣桜達の背後から……。
[刹那 五木]
「おれも混ぜてよ!」
[巣桜 司]
「!?」
大柄な刹那が、小柄な狂沢と中肉中背の巣桜を、後ろから包み込む。
[狂沢 蛯斗]
「ふぇっ……!?」
[巣桜 司]
「おおおいぃ、要らねぇんだよ!!」
[刹那 五木]
「え、なんで巣桜くんガチギレ??」
刹那には、巣桜が何故怒っているのか分からない。
[巣桜 司]
「離せ!! この百合の間に挟まる〇〇〇〇〇……が!!」
[刹那 五木]
「わっ!? 放送禁止用語!!?」
[狂沢 蛯斗]
「かはっ、かはっ……」
ふたりに挟まれて身動きが取れない狂沢は、息が出来なくて苦しんでいた。
[夢女子A]
『酷い! こんなのあんまりよ!』
[夢女子B]
『男同士で仲良くするな!』
[夢女子C]
『あたしを取り合いなさいよーー!!』
断末魔を叫びながら、次々と夢女子達が爆ぜて消滅していく。
[不尾丸 論]
「何が起こっているんだ……」
[仁ノ岡 塁]
「まさに混沌!」
[原地 洋助]
「誰かツッコミ入れて……」
1年生トリオは、肩を寄せ合って隅のほうで震えている。
[音乃 渚]
「まぁ、なんと言うことでしょう」
[土屋 遊戯]
「おえ、他人のホモはやっぱ見ててきついね……」
[古道 大悟]
「オレはもちろん、岬とくっつく〜♡」
[花澤 岬]
「てか俺達、何やらされてるんだ?」
ピカーン……!!
その時、空が一瞬明るくなる。
その場にいる全員が、空を眺めた。
[笹妬 吉鬼]
「……は?」
[嫉束 界魔]
「ねぇ……吉鬼。 僕達、夢を見ているわけじゃないよね?」
暗い紺色の夜空は一瞬にして、禍々しい緑色へと変わった。
……。
──そろそろ起きる時間です。
──そろそろ起きる時間です。
──そろそろ起きる時間です。
ジリリリリリ!!
目覚ましの音が聞こえる。
[朝蔵 大空]
「……朝」
私の名前は、朝蔵大空。
高校2年生の、友達の少ない女の子。
[朝蔵 大空]
「起きなきゃ……」
私はいつものように着替え、朝食を食べ学校に行く。
ひとりで通学路を歩く、教室に行く。
[永瀬 里沙]
「大空おはよ! ギリギリ間に合ったね」
この子は私の中学からの親友、永瀬里沙ちゃん。
[朝蔵 大空]
「え?」
時計を見ると、朝のホームルームまであと2分前だった。
[朝蔵 大空]
「あっ」
[二階堂先生]
「みんな、おはよう。 んじゃ、ホームルーム始めっぞ〜」
そんなに家出るの遅かったかな……?
[文島 秋]
「そろそろ生徒会選挙のシーズンだな」
[木之本 夏樹]
「興味ねぇ〜」
このふたりは、木之本夏樹くんと文島秋くん。
[永瀬 里沙]
「昨日の《《花火大会》》楽しかったね〜!」
[朝蔵 大空]
「うーん」
あれ?
[文島 秋]
「どうしたの、朝蔵ちゃん?」
[朝蔵 大空]
「あ……その、今日誰か休んでるの?」
[木之本 夏樹]
「休み?」
[永瀬 里沙]
「誰も休んでないわよ?」
私がよく話す人、1番目に里沙ちゃん、次に文島くん、そして木之本くん……。
[永瀬 里沙]
「てかさ、やっぱ次の生徒会長は文島くんが狙ってる感じ〜?」
[文島 秋]
「一応、ね」
[木之本 夏樹]
「投票だり〜」
うん、そうだよね。
私の友達は、この3人だけ。
[二階堂先生]
「ほんじゃ帰りの会終わり、お前ら気を付けて帰るんだぞ〜」
何も特別なことが起きることも無く、あっさりと終わった学校生活。
[二階堂先生]
「雨降ってるな……お前ら、廊下はくれぐれも走らな……」
[永瀬 里沙]
「部活だぁああ!!!」
先生の言葉を無視して、ダッシュで部活へ向かう里沙ちゃん。
私も、帰らなきゃ。
[朝蔵 大空]
「げっ、傘忘れた……」
私は、折り畳み傘を忘れてしまった。
[朝蔵 大空]
「そんなに降ってないし、無しでも帰れるか……」
そう判断した私は、傘を差さずに帰路へと進む。
ザァ……!!
[朝蔵 大空]
「えー、最悪……」
学校を出る時は小雨だったのに、途中から本降りへと変わった。
私は近くの公園へと駆け込み、雨宿り出来るベンチへと座る。
[朝蔵 大空]
「ちょっと休も」
雨が弱くなったタイミングでまた出発しよう、そう考えた私は静かに待つ。
──15分後。
ザァー!!
[朝蔵 大空]
「……」
どうしよう、全く止む気配が無い……。
これもしかして、夜中降るやつ?
[朝蔵 大空]
「はぁ、ついてないな…………ん?」
[白い仔猫]
「にゃあ……にゃあ」
猫の鳴き声が聞こえる、私は声のするほうを振り向く。
[木之本 夏樹]
「可愛すぎんだろ……」
[白い仔猫]
「にゃあ〜」
[朝蔵 大空]
「木之本くん!!?」
木之本くんが、野良猫に傘を差して腰を下ろして、仔猫を撫でている。
[木之本 夏樹]
「うぇっ!? そ、大空ちゃ……ん!」
[朝蔵 大空]
「えっ?」
今、木之本くんが私の下の名前を呼んだ……?
そんな呼び方、今までされてたっけ??
[木之本 夏樹]
「こ、こんな所で何してんの?」
[朝蔵 大空]
「木之本くんこそ……」
[木之本 夏樹]
「俺は、この野良猫を見つけて……」
[白い仔猫]
「にゃ」
[朝蔵 大空]
「ああ……私は、傘を忘れてしまって」
[木之本 夏樹]
「雨宿りしていた、と言うわけか」
なんか恥ずかしい……。
[朝蔵 大空]
「まあ、お構いなく」
[木之本 夏樹]
「ん!」
気付くと木之本くんが私の隣まで来ていて、私に自分の傘を差し出す。
[朝蔵 大空]
「な、何?」
[木之本 夏樹]
「俺の! 俺の傘、入りなよ」
[朝蔵 大空]
「オレノカサハイリナヨ……?」
それってまさか、相合傘!!?
そんなのダメだ、だって私には愛しの…………。
[朝蔵 大空]
「愛しの……」
[木之本 夏樹]
「え?」
あれ、私……なんて言おうとしたんだっけ?
[木之本 夏樹]
「か、風邪ひくぜ! ほら!」
[朝蔵 大空]
「あ、ありがとう」
私は木之本くんの隣に立ち、一緒の傘に入らせてもらう。
[白い仔猫]
「にゃ……」
[朝蔵 大空]
「その子、連れてくの?」
[木之本 夏樹]
「し……心配だし、一旦うちに連れて行こうと思って」
[朝蔵 大空]
「へぇ、木之本くんって優しいんだね」
[木之本 夏樹]
「は!? べべべ別に優しくねーし!」
別にそこ否定しなくても良いのに……。
[朝蔵 大空]
「木之本くんの家って、この近く?」
[木之本 夏樹]
「うん、もうすぐ着くけど……寄ってく?」
[朝蔵 大空]
「え!」
[木之本 夏樹]
「え!!!?」
な、なんで木之本くんのほうがびっくりしてるの!?
[木之本 夏樹]
「ちちち、違うんだ! へ、変な意味とかじゃなくて!!」
[朝蔵 大空]
「う、うん」
[木之本 夏樹]
「あ、俺ん家着いたわ」
ふーん、木之本くんの家……。
[朝蔵 大空]
「えっ、でっか!!」
思わず、少々下品な言い方をしてしまった。
[朝蔵 大空]
「ほ、ほんとにここが木之本くんのお家なの!?」
明らかに庶民の家ではない、貴族様が住んでいそうな御屋敷が、目の前に佇んでいた。
[木之本 夏樹]
「あ、やっぱりびっくりされるよな〜……」
[朝蔵 大空]
「え! え? え!?」
き、き、き、木之本くんお坊ちゃまだったのぉ!!?
[木之本 夏樹]
「だ、誰にも言わないでくれ……俺の家がこんななの、学校の奴だと文島ぐらいにしか話してないからさ」
[朝蔵 大空]
「う、うん。 言わないけど……」
[木之本 夏樹]
「そ、それで、マジで寄ってく?」
[朝蔵 大空]
「ゴクリ……」
悔しいけど、ちょっと気になる。
──いざ、木之本キャッスルへ。
つづく……。
「ちょっと待ったーーー!!」
モブ女集団と、不尾丸達の前に現れたのは……?
[不尾丸 論]
「!?」
[音乃 渚]
「論、上を見て下さい!」
[不尾丸 論]
「上っ!?」
その時……周囲の視線は、物寂しいイベントステージへと集まる。
パーパーパパッーー!♪
[不尾丸 論]
「何この音……」
☆☆☆
[ワガナカ・イエロー(嫉束)]
「幸せいっぱい! ワガナカ・イエロー!!」
[ワガナカ・マゼンタ(巣桜)]
「や、優しさ大事……ワガナカ・マゼンタぁ〜……」
──何かが始まった。
[ワガナカ・オレンジ(刹那)]
「元気いっぱい!! ワガナカ・オレンジー!!!」
[ワガナカ・レッド(笹妬)]
「俺はやらない……」
[ワガナカ・ブルー(狂沢)]
「大声なら得意です!!! ワガナカ・ブルー!!!!!」
[ワガナカ・イエロー(嫉束)]
「最強戦隊、ワガナカファイブ!☆」
バーーン!!!
全身タイツ姿の、黄・赤・青・桃・橙……合わせて5人の戦士達が、不尾丸達の前に現れたのであった。
[不尾丸 論]
「バーン……じゃねぇよ! あと……5人中4人暖色で、寒色が青しかいないの気になるな〜」
[音乃 渚]
「そこ気になるんですね!」
[原地 洋助]
「論!」
[仁ノ岡 塁]
「大丈夫か!?」
原地と仁ノ岡が、不尾丸の姿を見つけて駆け寄ってくる。
[原地 洋助]
「……心配したよ」
[仁ノ岡 塁]
「無事で良かった!」
[不尾丸 論]
「お前ら……ふへへ」
3人は、互いに向き合って微笑み合う。
[音乃 渚]
「論、善いお友達を持ちましたね。 大事にしましょうね」
[不尾丸 論]
「あんたに言われなくたって……」
[仁ノ岡&原地]
「…………」
仁ノ岡と、原地は気まずそうに黙っている。
ビュンッ……!!
その静けさを断ち切るように、不尾丸達の横を何者かが横切る。
[土屋 遊戯]
「なっちゃん〜!! 会いたかったよ〜♡」
[音乃 渚]
「ゆうくん♪」
感動の再会と共に、周りの目なんて気にせず、涙して抱き合うふたり。
[花澤 岬]
「なんとか、退学は免れたな」
[古道 大悟]
「あはは…………ん?」
ざわ……ざわ…………。
[夢女子A]
『まさか!? や、やや、男×男……!?』
[夢女子B]
『BLは地雷なの!!』
[夢女子C]
『もう界隈やめますっ!!』
土屋と音乃が抱き合う光景を見て、周囲の一部の女子達は、腹を立てているようだった。
[笹妬 吉鬼]
「急にどうしたんだ?」
[巣桜 司]
「そうか……夢◎腐×!!」
[狂沢 蛯斗]
「ゆめにじゅうまるふばつ……?」
[刹那 五木]
「何それ〜?」
[巣桜 司]
「イケメンを愛でたい気持ちはあるけど、イケメン同士の絡みは求めていない人達のことです」
この手の話題に少し詳しい巣桜が、得意げに語る。
[嫉束 界魔]
「なるほど!」
嫉束は隣に立っている笹妬を、強引に抱き寄せる。
[笹妬 吉鬼]
「うわっ、なんだよ!」
[嫉束 界魔]
「みんなー!! 隣の人と抱き合って!!」
嫉束は、周囲の男子達に大声で呼び掛ける。
[巣桜 司]
「えっ///」
[狂沢 蛯斗]
「それになんの意味が……」
きゃ〜〜〜!!!!!
[夢女子D]
『やめてー!!』
[夢女子E]
『おぞましい〜〜!!』
一斉に目を覆い隠し始める、夢女子達。
[狂沢 蛯斗]
「なるほど!」
[巣桜 司]
「っ……きゃっ」
理解した狂沢が、巣桜の胸に飛び付く。
[巣桜 司]
(ぼくの腕の中に!! ツンデレの狂沢くんが自ら!?)
[巣桜 司]
「狂沢くん……ふふっ、可愛いです♡」
その時、巣桜達の背後から……。
[刹那 五木]
「おれも混ぜてよ!」
[巣桜 司]
「!?」
大柄な刹那が、小柄な狂沢と中肉中背の巣桜を、後ろから包み込む。
[狂沢 蛯斗]
「ふぇっ……!?」
[巣桜 司]
「おおおいぃ、要らねぇんだよ!!」
[刹那 五木]
「え、なんで巣桜くんガチギレ??」
刹那には、巣桜が何故怒っているのか分からない。
[巣桜 司]
「離せ!! この百合の間に挟まる〇〇〇〇〇……が!!」
[刹那 五木]
「わっ!? 放送禁止用語!!?」
[狂沢 蛯斗]
「かはっ、かはっ……」
ふたりに挟まれて身動きが取れない狂沢は、息が出来なくて苦しんでいた。
[夢女子A]
『酷い! こんなのあんまりよ!』
[夢女子B]
『男同士で仲良くするな!』
[夢女子C]
『あたしを取り合いなさいよーー!!』
断末魔を叫びながら、次々と夢女子達が爆ぜて消滅していく。
[不尾丸 論]
「何が起こっているんだ……」
[仁ノ岡 塁]
「まさに混沌!」
[原地 洋助]
「誰かツッコミ入れて……」
1年生トリオは、肩を寄せ合って隅のほうで震えている。
[音乃 渚]
「まぁ、なんと言うことでしょう」
[土屋 遊戯]
「おえ、他人のホモはやっぱ見ててきついね……」
[古道 大悟]
「オレはもちろん、岬とくっつく〜♡」
[花澤 岬]
「てか俺達、何やらされてるんだ?」
ピカーン……!!
その時、空が一瞬明るくなる。
その場にいる全員が、空を眺めた。
[笹妬 吉鬼]
「……は?」
[嫉束 界魔]
「ねぇ……吉鬼。 僕達、夢を見ているわけじゃないよね?」
暗い紺色の夜空は一瞬にして、禍々しい緑色へと変わった。
……。
──そろそろ起きる時間です。
──そろそろ起きる時間です。
──そろそろ起きる時間です。
ジリリリリリ!!
目覚ましの音が聞こえる。
[朝蔵 大空]
「……朝」
私の名前は、朝蔵大空。
高校2年生の、友達の少ない女の子。
[朝蔵 大空]
「起きなきゃ……」
私はいつものように着替え、朝食を食べ学校に行く。
ひとりで通学路を歩く、教室に行く。
[永瀬 里沙]
「大空おはよ! ギリギリ間に合ったね」
この子は私の中学からの親友、永瀬里沙ちゃん。
[朝蔵 大空]
「え?」
時計を見ると、朝のホームルームまであと2分前だった。
[朝蔵 大空]
「あっ」
[二階堂先生]
「みんな、おはよう。 んじゃ、ホームルーム始めっぞ〜」
そんなに家出るの遅かったかな……?
[文島 秋]
「そろそろ生徒会選挙のシーズンだな」
[木之本 夏樹]
「興味ねぇ〜」
このふたりは、木之本夏樹くんと文島秋くん。
[永瀬 里沙]
「昨日の《《花火大会》》楽しかったね〜!」
[朝蔵 大空]
「うーん」
あれ?
[文島 秋]
「どうしたの、朝蔵ちゃん?」
[朝蔵 大空]
「あ……その、今日誰か休んでるの?」
[木之本 夏樹]
「休み?」
[永瀬 里沙]
「誰も休んでないわよ?」
私がよく話す人、1番目に里沙ちゃん、次に文島くん、そして木之本くん……。
[永瀬 里沙]
「てかさ、やっぱ次の生徒会長は文島くんが狙ってる感じ〜?」
[文島 秋]
「一応、ね」
[木之本 夏樹]
「投票だり〜」
うん、そうだよね。
私の友達は、この3人だけ。
[二階堂先生]
「ほんじゃ帰りの会終わり、お前ら気を付けて帰るんだぞ〜」
何も特別なことが起きることも無く、あっさりと終わった学校生活。
[二階堂先生]
「雨降ってるな……お前ら、廊下はくれぐれも走らな……」
[永瀬 里沙]
「部活だぁああ!!!」
先生の言葉を無視して、ダッシュで部活へ向かう里沙ちゃん。
私も、帰らなきゃ。
[朝蔵 大空]
「げっ、傘忘れた……」
私は、折り畳み傘を忘れてしまった。
[朝蔵 大空]
「そんなに降ってないし、無しでも帰れるか……」
そう判断した私は、傘を差さずに帰路へと進む。
ザァ……!!
[朝蔵 大空]
「えー、最悪……」
学校を出る時は小雨だったのに、途中から本降りへと変わった。
私は近くの公園へと駆け込み、雨宿り出来るベンチへと座る。
[朝蔵 大空]
「ちょっと休も」
雨が弱くなったタイミングでまた出発しよう、そう考えた私は静かに待つ。
──15分後。
ザァー!!
[朝蔵 大空]
「……」
どうしよう、全く止む気配が無い……。
これもしかして、夜中降るやつ?
[朝蔵 大空]
「はぁ、ついてないな…………ん?」
[白い仔猫]
「にゃあ……にゃあ」
猫の鳴き声が聞こえる、私は声のするほうを振り向く。
[木之本 夏樹]
「可愛すぎんだろ……」
[白い仔猫]
「にゃあ〜」
[朝蔵 大空]
「木之本くん!!?」
木之本くんが、野良猫に傘を差して腰を下ろして、仔猫を撫でている。
[木之本 夏樹]
「うぇっ!? そ、大空ちゃ……ん!」
[朝蔵 大空]
「えっ?」
今、木之本くんが私の下の名前を呼んだ……?
そんな呼び方、今までされてたっけ??
[木之本 夏樹]
「こ、こんな所で何してんの?」
[朝蔵 大空]
「木之本くんこそ……」
[木之本 夏樹]
「俺は、この野良猫を見つけて……」
[白い仔猫]
「にゃ」
[朝蔵 大空]
「ああ……私は、傘を忘れてしまって」
[木之本 夏樹]
「雨宿りしていた、と言うわけか」
なんか恥ずかしい……。
[朝蔵 大空]
「まあ、お構いなく」
[木之本 夏樹]
「ん!」
気付くと木之本くんが私の隣まで来ていて、私に自分の傘を差し出す。
[朝蔵 大空]
「な、何?」
[木之本 夏樹]
「俺の! 俺の傘、入りなよ」
[朝蔵 大空]
「オレノカサハイリナヨ……?」
それってまさか、相合傘!!?
そんなのダメだ、だって私には愛しの…………。
[朝蔵 大空]
「愛しの……」
[木之本 夏樹]
「え?」
あれ、私……なんて言おうとしたんだっけ?
[木之本 夏樹]
「か、風邪ひくぜ! ほら!」
[朝蔵 大空]
「あ、ありがとう」
私は木之本くんの隣に立ち、一緒の傘に入らせてもらう。
[白い仔猫]
「にゃ……」
[朝蔵 大空]
「その子、連れてくの?」
[木之本 夏樹]
「し……心配だし、一旦うちに連れて行こうと思って」
[朝蔵 大空]
「へぇ、木之本くんって優しいんだね」
[木之本 夏樹]
「は!? べべべ別に優しくねーし!」
別にそこ否定しなくても良いのに……。
[朝蔵 大空]
「木之本くんの家って、この近く?」
[木之本 夏樹]
「うん、もうすぐ着くけど……寄ってく?」
[朝蔵 大空]
「え!」
[木之本 夏樹]
「え!!!?」
な、なんで木之本くんのほうがびっくりしてるの!?
[木之本 夏樹]
「ちちち、違うんだ! へ、変な意味とかじゃなくて!!」
[朝蔵 大空]
「う、うん」
[木之本 夏樹]
「あ、俺ん家着いたわ」
ふーん、木之本くんの家……。
[朝蔵 大空]
「えっ、でっか!!」
思わず、少々下品な言い方をしてしまった。
[朝蔵 大空]
「ほ、ほんとにここが木之本くんのお家なの!?」
明らかに庶民の家ではない、貴族様が住んでいそうな御屋敷が、目の前に佇んでいた。
[木之本 夏樹]
「あ、やっぱりびっくりされるよな〜……」
[朝蔵 大空]
「え! え? え!?」
き、き、き、木之本くんお坊ちゃまだったのぉ!!?
[木之本 夏樹]
「だ、誰にも言わないでくれ……俺の家がこんななの、学校の奴だと文島ぐらいにしか話してないからさ」
[朝蔵 大空]
「う、うん。 言わないけど……」
[木之本 夏樹]
「そ、それで、マジで寄ってく?」
[朝蔵 大空]
「ゴクリ……」
悔しいけど、ちょっと気になる。
──いざ、木之本キャッスルへ。
つづく……。

