「鞭でぶたれるつもりはないわ」

 時間稼ぎである。その間に、ジェフとクレアがヘンリーとノーラを連れて行ってくれるかもしれない。

「おまえにその気はなくても、こっちはぶつ気満々なんだよ」

 叔父が腕を伸ばし、わたしの体のどこかをつかもうとした。

「だめっ」

 その瞬間、ノーラが叫びながら叔父のその腕にすがりついた。

「こいつっ!」
「ノーラッ!」

 叔父がノーラを鞭でぶとうと腕を振り上げたので、反射的にその叔父の鞭を握る手にすがりついた。

「くそっ」

 叔父が暴れるのでガクガクと体が揺すられる。が、その叔父が悲鳴を上げた。

 が、その悲鳴が耳に痛いと思ったときには、叔父はふっ飛んで床の上に転がっていた。