「旦那様と大旦那様は他出されています。どうされますか?」
「少し待ってもらえないかしら? すぐに身づくろいします」
「承知いたしました」
「クレア、手伝ってもらえるかしら?」
「かしこまりました」

 人前に出て行けるよう急いで準備をしながら、出来るだけ考えないようにしていたことが急に気になり始めた。

 そうなると、頭も心もそのことでいっぱいになってしまう。

 それは、コリンのこと。

 お客人に会うまで、彼のことで頭も心もいっぱいだった。