「まぁまぁ、ノーラお嬢様。奥様は大分と良くなりましたが、まだ痛みが残っています」

 クレアが注意して初めて、ノーラはハッとした表情になった。すぐにわたしから離れると同時に、すまなさそうに目を伏せた。

「いいのよ、ノーラ。もう大丈夫だから。ヘンリーも来てちょうだい。今朝は、わたしって大人気みたい。シャーロットも来てくれたのよ」

 ヘンリーがやって来た。

「二人とも、ごめんなさいね。怖かったでしょう?」

 鞭打たれるところを見せられ、怖かったに違いない。

 とくにノーラは、自分のときと重ね合わせてしまったかもしれない。