フランクの体を抱きしめたままの状態のわたしの周囲に、人が集まって来た。

 フランクの母親らしきレディは、泣きながら礼を言っている。

 それを、なんとなく耳で捉えている。

「ああ、おまえたち。もう大丈夫だ。あんなやつとは離縁だ。さあ、わたしの屋敷へ戻ろう」

 衛兵を呼んできたのは、たしか法務大臣だったかしら?  彼は、フランクのお母様の身内なのね。

 そのとき、すぐ傍に気配を感じた。

 よかった。

 安心した瞬間、気がふうっと遠くなった。