「仕方がない。バーナード、この分も払ってもらいますよ。おい、来るんだ。おれみずから教えてやる」
「はいいいいい? 『おい』、ですって? あなた、何様? それに、いつの時代の人? いまどき、どれだけおれ様な男性でも妻のことを『おい』呼ばわりする人はいないわ」
「あああああ? ったく、面倒くさいレディだな。心配するな。おれは、顔がいいだけではない。頭脳明晰、冠前絶後(かんぜんぜつご)、聖人君子、高材疾足(こうざいしっそく)。そういう男だからな。おっと、すまない。きみには、遠い東の方の大陸の言葉は難しすぎたかな?」

 傲慢野郎コリンは、ちょっと頭がいいことをひけらかしてきた。

 しかも、ほんとうに存在するかしないかわからない未知なる語をふりかざすなんて。