やはりその男性のことも、まともに見ることが出来ないけれど、黒いジャケットに黒いズボンを着用していることはわかる。

 ほどなくして、店内からウエイトレスが彼に飲み物とスイーツを運んで来た。

 そっとうかがうと、さきほどわたしたちが食べた大量のケーキ同様、幾つものケーキが並んでいるお皿がチャールズの前に置かれた。

 まさか、あんな強面がスイーツ派なわけ?

 偏見かもしれないけれど、ああいう渋カッコいい悪の人はお酒が似合いそうなのだけど。

 そのとき、「子どもたちに」というしわがれ声がきこえてきた。

 どうやら、チャールズがウエイトレスになにかを命じたようである。

 ウエイトレスがこちらにやって来た。