わたしは昴のファンじゃない!

 だったら、なんで今日に限ってこんなにしつこいわけ?

 だんだんムカついてきて、言い返そうと口を開きかけた瞬間——。

「だいたいなあ。泣きそうな顔の千夏を、放っておけるわけねえだろ」

 昴に吐き捨てるように言われ、言葉を飲み込んだ。

 そんなわたしを見て、昴が深いため息を吐く。

「とりあえず、あっちの隅っこの方行くか」

 昴の優しげな声に、思わず「うん」と小さくうなずいてしまった。


 先頭車両の乗り場のところまで歩いていくと、二人とも無言のまましばらく時間が経過した。

 なんにも言ってくれないの?

 さっき「俺も励ましたいんだけど」って言ってたのに。

 いや、拒否したのわたしだし?

 ひょっとしたら、昴なりに気を遣ってくれてるのかもだし?