しばらく女の子を観察していると、その子は色んな人を助けていた。

砂場でおもちゃをなくした子。走って転んだ子。登ったはいいものの、遊具からおりられなくなった子。

そんな困った子を見つけては、一直線に助けに行く――いわば「お助けマン」みたいな子だった。

そんな子が、ふと。俺の目の前にやってきた。

そして、こんな事を言ったのだ。


『あなたは?何に困ってるの?』

『え、僕……?』

『うん。とっても悲しそうな顔をしてるよ?』

『え……』


自分では、全く気が付いてなかった。だけど、やっぱり自分は母親の言葉で傷ついていたんだと。長年にわたりボディーブローを入れ続けられた俺の心は、既にもうボロボロで、限界だったらしい。


『僕、僕は……っ』