なんで、抱きしめてくるの……っ。辛いのに、なんで安心する私がいるの。
「は、離して……っ」
「……うるさい」
「やだ、お願い……っ」
「美桜、俺を見ろ」
離して、と口に出すだけで、真紘くんを押し返そうとしない私が嫌になる。
真紘くんは、また私の顔を包んで無理やり顔をあげさせた。
「なんで……こんなことするの……っ?」
「は……?」
「ひどいよ、期待させたくせに……っ!」
「……美桜」
「桜と……付き合ってるの……っ?」
自分で言っといて辛くなって、また涙が溢れる。
真紘くんは私の目を見つめて驚いていた。
「……ふざけんなよ、なんで伝わってねえんだよ」
「なにが……っ」
「あんだけアピールしてんのに、なんで気づいてくれねえの」
「な……っ」
な、なに言ってるの……?
少し怒ったような表情をする真紘くんに、私は訳が分からなくなる。
しかも、いつもの倍は口が悪い。
「誰が桜と付き合ってるって……?」
「ま、真紘くんが……」