靄がかかった真っ白な世界がそこには広がっていて、誰かに強く呼ばれているようなそんな気がした。

 ここは死後の世界なのかと錯覚しそうになっているのもつかの間、私の中に何かが溶け込んでいきハッキリとしない意識が瞬く間に冴えていった。

 光が私を包み込んで、その眩しさに目を閉じる。


『シス――ム……に……ラーが、生じ……した。真な……選定を――』


『お願――。貴方……を、託させて――!』

 
 聞き取りにくい声が一瞬聞こえた気がしたけれど、光が消えてしばらくしてから目を開ければ、気がつけばそこには中世ヨーロッパを思わせる宮殿の煌びやかな大広間のような景色が広がっていた。

 周囲を取り囲む、マントを羽織った大人達の歓声が響き渡る中、どこか見覚えのある金髪青眼の恐ろしく整った顔立ちの青年がこちらへとやって来た。


「大精霊様の使い手の力を持つ者よ、召喚に応えてくれたこと感謝する。ただ……二人いるとは予想外だったが」


 二人という言葉にそっと横を見れば、チェリーピンクの髪を揺らして微笑み愛嬌を振り撒く一人の少女がそこに居た。

 やはりこの少女もどこか見覚えがあるような……。