男子の部屋には、クラスの半分ほどの生徒が集まっていた。

「えー男子部屋広〜!」
「何言ってんだよ、男子は4班合同部屋だぜ?女子は2班ずつなのにさー、差別差別ー!」

(あぁ、だから羽生くんもいるのか…)

クラスメイトの会話を聞きながら、羽生は自分の意思ではなく、たまたま部屋がここだったからいるだけだ…と察した。
すでに何人かの女子が羽生の周りに集まっていて、葉月は近づけそうにない。

「で、集まって何すんの?夏だし、怪談?」
クラスメイトが言った。

(…え、()だな…)

「ネタがないから無理。」

「やっぱトランプじゃない?」

「え〜みんなで動画撮ろうよ!避暑キャンダンス!」

「なにそれ〜」

羽生の方を見ると、みんなの提案にダルそうな顔をしている。
(羽生くんのダンスとか見てみたいけど…)

葉月は心の中で笑った。