お風呂場に行って、小さなタオルを探す。すると手ごろな大きさのタオルを見つけた。

タオルを水で濡らし、凌久くんのおでこに置いた。気休めだけど、少しでも熱が下がりますように。

にしても……


「救急セット、全く手をつけてなかったのすごいな。全然病気をしてこなかったんだろうな、凌久くん」


さすが、というか。なんというか。凌久くんらしいなって思った。だって風邪とか病気に、無縁そうだもん。

だけど――その時。

凌久くんが「うッ」と声を上げる。息苦しくて眠れないのかな?と顔を覗きこむと……。

うつろな目をした凌久くんと、目が合った。熱のせいか、目に涙が溜まっている。


「凌久くん?」

「うぅ……」


ツンツンと雑にほっぺを触っても、凌久くんは怒らない。されるがまま。


「(すっごくレアな凌久くんだ……)」


心の中で感動しつつ「眠れないの?」と聞いてみる。すると、凌久くんは弱々しく首を振った。

そんな中、呟いた言葉は……


最悪だ――