ふぅ......。教室くるの、間に合ってよかった......。

教室について、息をついた。


前の席の男の子から、声をかけられる。




「あ、あのっ! ......お、は、ようっ」


「おはようございます。何かありましたか?」



しどろもどろに挨拶されて、不思議に思いながらも挨拶を返す。




「プリント、配られて、それを今度の、数学の時間に提出だそうです」


「......え、っ...プリント?」




気づかなかった。

引き出しの中を見ると、確かにプリントが入っている。

教えてくれて、よかった......。

分からなくて、やってなかったかもしれないっ...。




「ありがとうございますっ......。忘れちゃうところでした」


「いえ、僕は何も......」




お礼を言う。

さっきから、外から、なんだか声が聞こえてきていた。

何かあるのかな?




「なんか声するけど......」



「そっかそっかぁ」


「......野坂(のざか)、さ...先輩?」




横から声が聞こえてきて、横を向けばそこには、野坂さんの姿が。

先輩、って呼んだほうが、いいよね? あの時は思わず「さん」呼びだったけど。