「うわ......バグだ。めんどい......睡眠これ以上短くさせる気かよ............」




......迷惑かもしれないけど、やっぱり放っておけないよっ。

野坂さん、クマできてるし、睡眠が少ないみたい。それに、疲れてるみたいだから。

休んでほしい......。




「......っあ、あの......っ、何かお手伝いしましょうか?」

「ん? 大丈夫だよ」

「いや、でも......。ば、バグ......あるん、ですよね。私、それ、できます」

「え? これ、できるの?」




こくりとうなずく。

バグ、位なら、対処できる。




「あの、やらせてください」

「そういうことなら、お願いするけど......」




そう言って、野坂さんは私のほうへパソコンの画面を向けてくれた。

これ......。

バグの状態なのを確認し、問題のところを見つけて、直していく。

うん、大丈夫そうだ......って、あれ......?

バグじゃなくて、ウィルスが入ってきてる......。

ウィルスは、見逃すと大変なことになっちゃうっ。

急がないと。

パソコンを素早く操作する。

問題は解決できたけど、......ウィルスが入ってきてたから、もう少し対策を強めにしたほうがいいんじゃないかな。

そう思って、勝手にやらせてもらう。

トト、......っと......。

対策を強化して、もう一度確認する。

よし、問題はないっ。




「できました」

「えっ? できたの?」




ありがとうとお礼を言われて、笑顔を返す。




「ほんと、ありがとね。教室まで送る?」

「はい......その、気を付けてくださいね」




あのウィルス、誰かが意図的にしたものだった......。

丁寧にしてくれた野坂さんにそう言って、頭を下げる。

そのまま、小走りで廊下を進んだ。

野坂さんの声が聞こえたけど......ごめんなさいっ......。

野坂さんの声をうっすらと聞きながら、教室までの道を急いだ。