𝓼𝓲𝓵𝓮𝓷𝓽 𝓷𝓲𝓰𝓱𝓽 -気まぐれ猫を溺愛したい-


「だ、......どちら様でございましゅうか......?」




嚙んだ。

ど......どどどどど、う......。

恥ずかしさで顔が真っ赤になる。

噛んでしまった......。




野坂(のざか) (つかさ)。それより、生徒会室に用あったの?」

「へ、え、あ......はい。この、データを渡しに来て......」

「あー! そのデータ!」




大きな声を上げて、私の手にあるデータをまじまじとのぞき込む、その人......野坂さん。




「そのデータね、今度の冊子の発行に必要な超重要なデータだったんだよ......」

「そうなんですか......」

「そーそー。ていうか、そこに立ってるのはあれでしょ。入って入って」



えっ......そ、そんなこと、できないっ......。

それに、生徒会室って......部外者の私が入っちゃダメなんじゃ.....。




「あの、私は大丈夫ですし......」

「いいからいいから。キミ、新入生でしょ? 最近、というか、この前来たばっかりなのに、生徒会室までデータ届けに来てくれたし。遠慮なくどうぞ」

「え、ええっ......」



だけど、生徒会室って、関係者以外には見せられないデータとか、あるんじゃないのかなっ......?