小さくつぶやいたけど、どうだろう。
あまりにも静かだったから、聞かれていたかもしれない。
……あー、余計なこと言っちゃった気がするよ。
▷▷▷
「洲守夜亞ちゃーん、」
「……」
「ねぇってば」
「……」
「聞いてる?」
「……」
「ていうか聞こえてる?」
「……」
「聞こえてるよね。え? 寝てる?」
「……」
「嘘ー、まじで?」
「……」
「……ジョーダンだって、ねぇってば」
しつこく声をかけられる。
あぁ……もう、なんで……。
「……どうしたんですか、野坂先輩」
「え、冷たくない? かなしー」
軽い。軽い軽い。
言葉一個一個がとてつもなく軽い。
野坂先輩をじとり、と見つめる。
絶対大事な時に信じてもらえなさそう……。
「……それで、どうしたんですか」
「生徒会行く途中であったから、一緒に行こうとしてるだけだけど」
ちょうど、私が生徒会室に行こうと廊下を歩いている最中。
野坂先輩と曲がり角でぶつかって……ていう展開じゃなくて、たまたま曲がり角で声をかけられただけ。
……私が来るの、狙ってたよね?
「おれさ、聞きたいことあるんだ」
作り笑いじゃない、普通の顔。
野坂先輩、こんな顔もできるんだな。
……よかった。
作り笑い以外の顔も……感情を優先した表情も、できて。
野坂先輩を見て安心した。

