何を言ってるんだ、こいつは、とわざとらしくため息を吐く。
「姉貴?今おれに対して溜息つきましたよね?ね?」
「ついてないけど」
「つきましたよね。つきましたよね?ついたよな?ついたか?」
「あーあー、はいはい」
「姉貴、おれの扱い雑すぎて精神壊れそうっすよ!」
「和懸はこんなことで精神崩壊しないでしょ。あなた割と図太いほうだし」
意外と、和懸とこうして話してると、落ち着くんだよね。
慣れ?
「あっ、ヤバい。時間だ、和懸ごめん、ちょっと先行ってる」
「待ってくださいよー」
いつの間に準備を終えたのか、私が家を出た瞬間に隣に並んでいる。
時間ヤバいのに、こんな時間まで待っててくれてたんだ……。
隠れていた気遣いに、胸がほわほわした。
「あぁ、姉貴」
「はい?」
「姉貴って、高校どこでしたっけ」
「聞いてどうするの?」
「いや、どうもこーもしないっすけど、一応連絡先とかで」
「あー…」
ふむふむとうなずくと、高校名を口にする。