𝓼𝓲𝓵𝓮𝓷𝓽 𝓷𝓲𝓰𝓱𝓽 -気まぐれ猫を溺愛したい-




「いっ、いえいえいえ……! それより、みつかってよかったですっ」


「ですが……何かお礼を……」


「お礼なんて平気ですよ!」





お礼……すごいいい家の子だ、きっと。


……私とは、違って……。


しんみりした気持ちをごまかすように唇を上げる。





「ですけれど……」


「それに、移動教室なんでしょう? 先輩、遅れちゃいますよ」





そうからかうように言うと、先輩は私におずおずと頭を下げて、廊下の先に進んでいった。













先輩と別れた私は、その姿を見送ってから、足を向けた。


すると……ふわりと花の香りが流れてきた。


花の、香り……?


花壇とか、あったりするのかな?



授業が始まるまで、まだちょっと時間がある。


時計でそれを確認した私は、花の香りがするほうへ行ってみることにした。