それはきっと、普通の名前じゃない———。




「だが、瑠璃はいいのか?」




ㇵッ、と顔を上げた。




「瑠璃は、女嫌いだっただろう」

「…………」




女嫌い……そっか。

だから、女子生徒は生徒会には入らないようになったのかな。

この人たちは本当に、お互いを思いあっているのだとわかる。

優しい気持ちになった。




「———お前、名前は」

「……へっ、」




黙って私のことを見ていた生徒会長が、そんなことを言うとは思わなくて。

驚いて、変な声で返事をしてしまう。




「名前」

「えっ、…あ、えっと……洲守 夜亞、です」

「……洲守 、…夜亞」




名前を言うと、生徒会長さんは私の名前を反芻する。

そして顔を上げると、私をまっすぐに見つめて、言った。




「……こいつなら、別にいい」


「は……?」

「いやいやいや、ちょっと待って? 殺気だしたり、追い出したり睨みつけたりしてたよね? えっ? あれっ? 口開いて名前聞いて、殺気出さず追い出さずにらみつけてないっ?」