「———っ司!」

「あぁ、雨。どしたの?」

「どうしたもこうしたもないだろう!」




もう一人、男の子が入ってきた。

『雨』と呼ばれたその男の子。
細長めなメガネをかけていて、制服もピシッと着こなしている。

ピシっていうか、ビシって感じ。

お話で例えたら、頭脳担当、みたいな。




「一般人、しかもこの学校の女生徒を連れまわして!」

「えぇ~、平気だよ?」

「平気とは、何がか分かっているんだろうな!?」

「だから、この子は平気だよ」

「何が———」




『雨』と呼ばれた男の子と、野坂先輩は、仲がよさそうだ。

ほぼ、野坂先輩が怒られている......注意されている図だけど。




「ていうわけで、生徒会入らない?」

「......はい?」




急に話を振られたのと、その内容に。

私は目を丸くしてしまった。




「野坂先輩、言ってる意味わかってます?」

「もちろん」

「じゃあ、どうして———」

「司! いったい何度言えばわかるんだ! 女生徒を巻き込むとは———」

「一般人を巻き込むな、というか、『一般人を生徒会にかかわらせるな』でしょ?」




野坂先輩がそう言って、にこにこと笑みを浮かべる。



———それなら、平気だよ。



そして、私のほうを振り向いた。




「———だって、洲守夜亞ちゃん。この子、一般人じゃないからね」