夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。

「はいはい,ままの特徴は分かるかな」

「ままね,ままはね,可愛いよ。いっつもね,お花のイヤリングしてるの」

「ほうほう」

「どんな水着や服装をしていたかな?」

「水玉の,ピンクのやつ。いつも着てるよ」



おじさんが声を掛けると,女の子は突然生き生きと話し出す。



「そうか。ここにはよく来るのかい? なら,すぐにここにも来てくれるかもしれないね」

「? ううん,初めてきた」



にこにことした返答に,おじさんは少し首を傾げて,今度は2人の身なりを観察し始めた。

そして,会場へアナウンスを入れてくれる。

けれど,待てど暮らせど,2人のお母さんは来なかった。



「お嬢さんもそろそろ友達のところへ戻ったらどうかね。2人は任せてくれていいから。ありがとうね」



はらはらとするも,2人はカウンターにおいてあるぬいぐるみに夢中になって,幸い泣きだしたりすることもなく落ち着いている。

どうしよう。

心配だけど,おじさんも言うように一旦戻ったほうが良いのかな……