夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。

プールサイドの壁際により,堤くんの学校の話などを聞いた。

そろそろかなと微笑みに落ちていた顔を持ち上げると,何が身体に触れる。



「春陽く」



と言いかけて,あれ? と私は首を傾げた。

春陽くんなら,肩のあたりに触れるはずで,膝の裏なんかに手を置くはずもない。

目を丸くしたまんま落とすと,そこには2人の子供がいた。



「ま,ま……じゃない。お姉ちゃ?」



うりゅ,止めを潤ませる女の子。

その手を握っている男の子は,じっと私を見ている。



「え」

「知り,あいじゃないよね?」



こくんと頷いて,私はしゃがんで今にも泣きそうな彼女を見つめた。



「わー! まってまって,泣かないで? 大丈夫だから。どうしたの,ままがいないの?」

「まま,いないのー」

「……まいご」



冷静な男の子からのアンサーに,私はよしよしと女の子を慰める。

2人も子供がいなくなったなら,お母さんもすぐに見つかるだろう。



「よし。堤くん」

「あ,うん」

「ここで春陽くん待っててくれる? アイス溶けちゃうなら食べていいから!」



行こう,と私は2人の手を取った。