「な,んなんだよ……っ」
悔しそうに噛みしめるのは,3本目を終えた春陽くん。
私はゴキュゴキュと水分を補給しながら,春陽くんを振り返った。
「なぁにーー? 型もルールも決めさせてあげたでしょ。私の勝ち〜」
にししとした笑顔に彼は奥歯を噛み締める。
「ってことで春陽,奢りでアイス,だっけ。ゴチ」
堤くんも乗っかるように春陽くんを見た。
「何なのほんと。バタフライはともかくクロールで負けるなんて」
ぶつぶつと何かを言いながら,ため息をついて。
春陽くんは自販機へと向かった。
「……悪かったかな? 帰りになにか買ってあげようか」
「まぁ,一応まだ中学生だし……?」
待っている間,私達はくすくすと笑いあう。
春陽くんがどんなアイスを持ってくるのかも含めて,とても楽しみである。



