夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。

「春陽くんは」



突如口を挟む私を驚いたように振り返り,お父さんは不愉快だという顔を私に向けた。

言葉を当てるなら"他所の,それも子供が。口を挟むな"とでもいうところだろう。

それでも私はお父さんと,春陽くんに目を向けて,はっきりと口を開く。



「確かに,弱いと言われる側面があるのかもしれません。でも! だからといって,強くなれない人ではありません。春陽くんのノートを見たことがありますか? 誤答はほとんどなく,綺麗にまとまって分かりやすいんです」

「だから何だ。そんなもの,行かなくては意味がないだろう。家にいるからと言って,家で勉強するわけでもない。もう十分,春陽は遅れている!」



話を最後まで聞くあたり,この人はとてもましなのだと思った。

お父さんさんは,少なくとも半分を占める割合で,本当に春陽くんを想っている。



「それを,彼は取り戻せます……!!!」

「どうやって」

「私が……春陽くんを,毎日迎えに来ます。春陽くんはきっと,私の呼びかけに応えてくれます」