夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。

        "三好 好暖side"



「はぁ……疲れた…。静香,アイス買ってきたぞ〜」

「あ,あらそう。ありがとう,あのお父さん」



文世くんたちのお父さんはようやく私を発見して足を止めた。

お母さんがそっと近づきにこやかに話しかける。



「こちら,三好 好暖ちゃん。春陽の部活友達ですって。たまたま文世と会って,遊びに来てくれたの。お父さんの分のすき焼きも今から追加するから,少し待っていてね」

「そうか,ああ」



お父さんは私から目をそらすように荷物を置くと,残った定位置だろう椅子に腰を掛けた。

そして,自分を避けるかのように白米にめを落とし口に運ぶ春陽くんを見て



「……情けない」



とため息のような音を漏らす。

全員が聞かなかったふりをするように,呼吸をひそめた。



「いつもは夕食を合わせることすらしないというのに」

「父さん,何も客が来てる時まで」



流石に聞いてられないと,堤くんが震える瞳を持ち上げる。

その先にいるお父さんは,私をちらりと一瞥した。