夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。



思春期,反抗期。

急速な成長と,様々な時期の重なりが,環境にミスマッチする。

どれともまじ合わない境遇が,悪循環を生んだ。

その結果として,行けるとこまで行ってしまおうって,迷子なのに不安で歩き回ってしまう。

その気持ちは,分からなくもなかった。

1年なんてあっという間で,やめてしまおうと思えば何でもそうしてしまえて。

考えるには,足りなくて。

春陽くんの信用を得られる人間も,少しずつ減っていって。

とうとう赤の他人に打ち明ける所まで,寂しさを募らせてしまった。

それでもまだ悩む春陽くんは,どこで止まれば引き返すことが出来たんだろう。

……ううん,まだ,きっと諦めるには早い。

そのために私は,終わりかけのジェンガみたいな繊細な男の子の心をつついたんだから。

君が望むなら,私は君を一人にしないよ。

手の届く範囲の,特に堤くんに関わる人達には,幸せでいて欲しいから。

今日だって,折角朝から逢いに来たんだもん。

さあ,誰にも聞こえない小さな世界の中で。

私と春陽くんのたった2人,沢山お話ししよう。

外の事も,中のことも,未来のことも,今のことも,とっくに過ぎ去った過去の事だって。

なんだっていいから,明日に繋がるお話を。