「や! 久しぶり~ぃ!」



駆けてきてパッと目の前に現れたのは,もう来ない気すらし始めていた新たな夜。

神出鬼没な彼女が躍動感まで備え付けてしまえば,それはもう幽霊を見たのと変わらないほど驚いてしまうもの。



「っ。今日も,同じ服なんだね」



不覚にも,"彼女がここに来たこと"へ目を丸くしてしまった俺は目につくそれを指摘した。

パーカーに広がりやすいロングスカート。

どちらも正確な色は分からないけど,ピンクかグレー。



「だあって。その方が君の印象,記憶に残りやすいでしょ? 私は本気で君の星になろうと思ってるのに」



空いた時間を無かったものにするかのように,その人は気安く拗ねて見せた。

まだ出会って2ヶ月経たない程度だけど。

俺はその人を忘れないような気がしている。

ぼうと彼女の姿を目に焼き付けていると,彼女は初めて,ブランコ以外の遊具へ向かった。



「滑り台はお尻はまっちゃうかな。ううん,大丈夫だよね」



なんてうんうん頷きながら,何故か鉄棒の方へ向かったその人は。

突然ぐるりと1周回る。



「ちょっ見え」