その日、風呂上がりの祝衣茉(いわい えま)は、ベッドに腰掛け、スマホを握っていた。 メッセージアプリを開け、 「私と恋してくれませんか?」 と打ってみる。 うーん。 こんな恋のはじまり方はどうだろう? と思いながら、ごろりと寝転んだ瞬間、うっかり親指が画面に当たってしまった。 ――送信。 あ~っ、と起き上がった瞬間に、もう既読1になっていた。 ひ~っ。 何故、すぐに既読1にっ。 普段、あまり使ってない社内の呑み会用のグループ その1なのにっ。 慌てて消したが、もう間に合わない。