クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 安心させてくれるような、優しい声色。

 その声に感化されて、私はためらっていた言葉を少しずつ繋ぎ始めた。

「実、はね……さっき、男の人とぶつかっちゃって……それで……。」

「それだけか?」

「……うん、それだけだよ。」

 流石に、「抱きしめられた」なんて言えるはずないっ……。

 私は嘘が得意なほうだと思ってるから、少し口角を上げて言えばバレないはず。

 ……だったのに。

「嘘だろ、それ。」

「え……?」

「まだ隠してる事、あるだろ。何年お前のこと見てるって思ってんだよ。」

 ば、バレてる……。

 確かにりおくんは嘘を見抜くのが得意だけど、すぐに分かってしまうとは。

 だけどここで変に取り繕うのも良くないと思い、私は観念して短く言葉にした。

「……抱きしめられ、ました。」

「誰に?」

「ぶつかった、人に……。」

「どうしてそうなったんだ?」

 ……これこそ言ったら、怒られる気がする。

 自分でも馬鹿だって思ってるから、りおくんも馬鹿だって思うはずだ。

「……言いたくないか?」