音の力って、なんて不思議。



目を閉じても、波の音を聞けば海が広がる。



愛する人の声で呼ばれれば、一瞬でその想いがよみがえる。







これからもずっと、呼び続けよう。



忘れないように。



忘れられないように。







私は、バッグから小さな包みを取り出した。



彼に歩み寄って左手をとる。



「これでまた、新婚生活だね」



穏やかに微笑む彼の視線の先で、薬指がキラリと光った。







おかえり、リュウくん。