産婦人科医として見逃せなかったのだろう。モニカが鋭い目でそう言い、席を立とうとしたその時である。

バスが次の停留所に停まった。そして、三人の男性が乗車してくる。三人とも黒いパーカーにデニムパンツを履き、黒いリュックサックと同じ格好をしており、どこか不気味に思えた。格好ではなく、三人の顔が無表情で何を考えているか読み取れないからである。

（何だ？嫌な予感がする）

三人は座席が空いているというのに、座ることなくその場に立っている。そして、バスが発車した直後にそれは起きた。

三人はリュックサックを地面に下ろすと、中に手を入れる。そして、リュックサックから取り出したものを見て、桜士と一花とモニカ以外は悲鳴を上げた。

「このバスは俺たちが乗っ取った！全員動くな！さもないと……殺すぞ！！」

三人の手にあったのは、刃渡り二十センチは超えているであろうナイフだった。