「なんでダメなの?」



電話越しに心配そうにする心桜。



「前に廉くんに言われたの」

「え、何を?」

「絶対に好きになるなって」

「……そっかぁ」



その意味がわかったのか、心桜の声が小さくなった。

あれ……私、なんでこんなに悲しくなってるんだろう?

やっぱり好きなのかな、私。



「そう言われて愛華は悲しい?」

「うん、すごく……」

「ってことはやっぱり、愛華は廉くんに恋してるよ。愛華自信が気づかないフリしてるだけ」



……恋。

私、廉くんのことがどうしようもなく好きなんだ。

ぶっきらぼうなのにとっても優しくて、私のことを助けてくれた。

そんな廉くんのことを好きになったんだ。



「でも、どうしよう」



好きになったことを自覚できても、ああ言われてる以上私の気持ちを伝えられない。



「私はそれでもちゃんと伝えた方がいいと思う。想いはちゃんと伝えないと後悔するよ」



心桜はそう私に言った。



「そうだよね」



行動しない後悔より、する後悔。

その方がずっといいに決まってる。



「ちゃんと考えてみる」

「うん!私は愛華のこと応援てるからね!」

「ありがとう、心桜」



ピロンと音が鳴って通話が終了する。

かれこれ1時間くらいは心桜と電話をしていただろうか。

もうそろそろ寝る時間だ。

スマートフォンの目覚ましをセットして、画面を閉じ、枕元に置いてそっと目を閉じた。