恋の魔法は間違えないで下さい!

「穂高くん、朝だよ」

「う〜ん・・・」

「おーい、みんなもう起きてるよー」

「・・・・」

なかなか起きないので私はだんだん声のボリュームが上がってきてしまった。

「起きてー!起きろ、桐生穂高ー!」

「え・・・?音葉ちゃん?」

桐生くんが目を擦りながら、私の顔を確認している。

そして数秒後、飛び起きた。

「ごめん、音葉ちゃん!俺、朝弱くて」

「もう!朝食できてるよ!」

私は部屋を出ようとして、穂高くんに呼び止められた。

「音葉ちゃん」

「うん?」

「起こしてくれてありがとう」

「別に・・・仕事っていうか・・・」

私は何故か照れてしまって、可愛げのないことしか言えなかった。

昨日の穂高くんの言葉が頭をよぎる。

「なんだか新婚みたいだね」

私はブンブンと頭を振った。

違うから!

これはそういうのじゃないから!

私は何も言われていないのに、心の中で勝手に言い訳してしまった。