恋の魔法は間違えないで下さい!

「よーし、夕飯のあとは肝試しやるぞー」

顧問が食堂で呼びかけている。

「聞いてませんけど!?」

「肝試しはマネージャーじゃなくて、部員が準備したからな。知らなくても当然だ」

「えっと、私は参加しなくてもいいですか・・・?」

「いや、全員参加だ」

やばい、どうしよう。

肝試しとかむっちゃ苦手ってわけじゃないけど、怖くないわけじゃない。

「大丈夫だよ、音葉ちゃん。俺に掴まっていいよ」

穂高くんが優しくそう言ってくれる。

「ありがとう・・・!」

私は穂高くんに掴まろうとして固まった。

「いや、私負けるじゃん!」

「気づいちゃったか」

「穂高くんの意地悪!」

「勝負にはズルさも必要です」

穂高くんはそう言って私にウインクした。