高等部の2年生に転入してきた俺についた校内案内役がモンテール侯爵令嬢だ。

教室の配置、校内設備の案内と校則の理解確認や選択授業の登録方法など、この学院で必要な知識を詳しく教えてくれる便利な存在だ。


母が俺を生んで亡くなった直後に母の実家に引き取られて、国外で育てられた。
当時の国王陛下だった実父の正妃から逃れるように。
その時に協力をしてくれたのが、先代及び当代の
モンテール侯爵父子だった。

国外脱出時の御礼とこれからの挨拶を兼ねて侯爵邸に父のシモンと訪問した際に、長女のクロエ様と養子の嫡男ジュール様にもお目通りをした。

モンテール侯爵とご令息には、美しい意匠で有名な懐中時計を。
ご令嬢には最新デザインのドレスの仕立て券を。
それらを手土産に、これからもご贔屓にと、挨拶をした。


俺の本当の父親が誰なのかは関係者以外には秘密にされていて、本来は伯父であるブリュロワール商会のシモン会長の息子と言うことになっていた。
伯父夫婦には子供が出来なかったので、俺は実子として届けられて商会の跡取りになっていた。