どうしてなんだろ?
このゲームで一番の推しだった王太子のリシャールには近付けない。
彼の側近のドミニクと護衛のアンドレにも。

あたしのお世話役をしてくれたからリシャールと懇意になるのに、そのお役目からも彼は逃げた。
それも自分の代わりをクロエなんかに、頼んじゃって!


「リシャール殿下があたしの面倒を見てくれないから、指導してください!」

腹が立つから学院長室へ殴り込みみたいに突撃したら、『王族と平民の交流』とか言ってた学院長は掌を返した。


「そ、それなんだが、殿下からご提案があって……」

リシャールからは、女生徒の世話役は同性にさせるべきで、『平民との交流』を謳うならば、将来の王妃であるグランマルニエ侯爵令嬢ほど、それに適した人物は居ないとか、何とか丸め込まれちゃっててさ……

王族だって、ここじゃ一生徒なのにさ、ホントにこのオヤジ頼りねーな!