学院長から私のお世話を頼まれた癖に、リシャールは。

初対面では、蕩けそうに甘い顔で、私に向かってにっこりしたのよ?


「私が生徒会長のリシャール・ルブランです」

あたしの! 下半身直撃のその声は!
大好きな宮本武瑠、たけるんの美声だった。
これからこの声が、あたしのものになって、どんな言葉を囁くのかと思ったら。
やだ、もぉイッちゃう!……だったのに。

それに自己紹介は生徒会長、だって。
この国の王太子だって、言わないの、たまんなかった。
同じ学院生だよ、って言ってくれたんだよね?
王族だから、って遠慮しないでね、だよね?


「BB、って呼んでくださいねっ!」

だから、にっこり笑って言っただけなのよ?
ちょっと腕は触ったけどさ……
その瞬間だった。

リシャールの背後に居た護衛騎士のアンドレが
あたしの手を叩いたの。
パシッ!って。